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【コラム】部下との会話を価値あるものにするための8つのステップ

【コラム】部下との会話を価値あるものにするための8つのステップ
投稿日
2015-05-13

目次

前回、週に1回程度、部下と20分間話す時間を持つ「コーチ型部下マネジメント」を提案しました。(前回のコラムはこちら

では、その20分をどう使えばいいのでしょうか?何を話せばいいのでしょうか?今回は、どんな流れで進めて行けばいいのか、大まかな流れを理解してください。

ところで、この20分間の部下との会話に名前をつけておいたほうが、話がわかりやすいでしょうね。週一回定期的に20分間以内で部下と会話をすることを「部下コーチセッション」と名づけます。

どんな行動をするかを決めてセッションを終える

毎回の部下コーチセッションを行う目的は、部下の行動を促して成果につなげやすくすることです。そのため、「次回までにどんな行動をするのかが決まっている」というのが毎回のゴールです。

ここに20分間でたどりつかないと、「話せてよかったけれど、何をこれからやればいいかよくわからない」ということになりがちです。上司としては、部下コーチセッションが終わった時に、このゴールにたどりついたかどうか、必ず確認しましょう。

セッションを始める前に

さて、部下コーチセッションが始まる前にやっておかないといけないことがあります。

  • 定期的に時間を取ることを部下に宣言して合意する
  • こういうスタイルでマネジメントしていくことを部下に認識させておくことで、部下の仕事のサイクルが作られていきます。また、上司自身も宣言したことがセッションを継続するモチベーションになります。
  • 年度や半期の目標(ゴールイメージ)を共有しておく
  • 目標面談の時に当然やっているとは思いますが、あらためてどこに向かって日々仕事をしているのかを共有します。部下コーチセッションの中で混乱した時に立ち返ることができます。
  • 部下ごとの今期の成長課題を話し合っておく
  • 部下の成長課題については、なかなか日常の業務を進める中では指導しにくいものです。今期の成長課題をあらかじめ話し合っておくことで、毎週の部下コーチセッションの中で効果的にリマインドしたりフィードバックすることができます。

では、いよいよ部下コーチセッションです。

部下コーチセッションの基本構造はこれ!

20分の使い方ですが、次のステップを基本構造に置いてください。

【1】現状/前回決めた行動をやってみた結果を聞く
【2】うまくいったこと/成功要因の言語化とアクノレッジメント
【3】うまくいかなかったこと/障害はなにか
【4】今週の行動から学んだことは?
【5】次回までにどういう状態にしたいか
【6】そのためにどんな行動をするのか
【7】懸念事項/上司として支援できること
【8】次回のセッションの確認

この流れを、2ヶ月後に重要な客先へのプレゼンを控えた営業担当者キタくんと上司のミナミ課長の会話を例に追いかけます。文字で表現すると長くなるので、今回は【4】今週の行動から学んだことは?までを読んでいただきましょう。

【1】現状/前回決めた行動をやってみた結果を聞く

ミナミ課長:じゃあ早速だけど、20分でセッションをやろうか。前回は、この一週間でプレゼンまでの全体計画表を完成させることになっていたね。

キタ:はい、そうなってたんですが・・・。まだ完了していないんです。

ミナミ:そうなんだ。キタくんらしくないね。いつもは前倒しで片付けるのが得意なのに。いまのところは何%くらい進んでるの?

キタ:8割くらいまで終わっています。

【2】うまくいったこと/成功要因の言語化とアクノレッジメント(承認)

ミナミ:なるほど。8割とはいえ、全体計画表はできてきたということだね。関係先が多くて大変だったと思うけど、どうやって進めたの?

キタ:確かに関係先は多かったですね。技術部だけでなく、広報、社長室、法務、マーケティング、製造まで絡みますから。でも、こういうのってさっさと話しに行って、相手の要望を聞きつつスケジュールにしていくのがコツだと思うんです。

ミナミ:そういうものおじしないところがキタくんの強みだよね。スピードのある動きって、なかなかできないことだと思うよ。

キタ:でも、もう少しというところで足踏みしてしまってるんです。

【3】うまくいかなかったこと/障害はなにか

ミナミ:具体的にはどんなこと?

キタ:製造スケジュールとの兼ね合いを考えると、2ヶ月後のプレゼンではちょっと早すぎるんじゃないかと製造部門から強い懸念があがってきたんです。そこがまだ決着しなくて・・・。

ミナミ:対立する意見が出た時に合意をうまく取ることがキタくんの今期の課題でもあったよね。キタくんはどう進めたらいいと思ってるの?

キタ:2ヶ月後のプレゼンはお客さまとの約束ですから動かせないです。そうなると、製造に目をつぶってもらって強引に進めるか、何か他の手を考えるか・・・。

ミナミ:納得度の差はあっても、関係者に合意してもらって進めるのがウチのチームの大前提だよ。他の手にはどんな手があるだろうね?

キタ:そうですね・・・。でもそういえば、製造部門がどうしてそこまで懸念を示すのか、よく聞いてなかったですね。早過ぎると言われて、ついこちらの都合ばかり説明していました。

ミナミ:そこがキタくんの成長課題ってことだ。対立した時は、まず相手の意見の背景までよく聞くこと。

【4】今週の行動から学んだことは?

ミナミ:ここまで先週の行動について話してもらったけど、ここまでで気づいたことは何かあるかな?

キタ:さっさと進めるというのは、自分の良さだということが改めてわかりました。でもその反面、相手の立場になって事情を聞いてあげるということは苦手にしているんだなあと思います。

ミナミ:そうだね。来週はぜひその苦手な部分に挑戦してもらいたいなあ。それで、来週までの話なんだけど・・・。(続く)

ミナミ課長とキタくんの会話はここまでで約10分位です。

上司が意識していることは

さて、ここまでの会話で、ミナミ課長が会話の中で意識してやっていることは何だと思いますか?

  • 原則として、部下のキタくんにしゃべらせている。
  • キタくんの強みと課題について、明確に意識させている。
  • 仕事を進める上でのスタンスを上司として伝えている。

他にはどうでしょう?あなたはどんなところに気づいたでしょうか?あるいは、あなたならどんなことを意識して会話してみたいですか?

感想やコメントがありましたら、こちらからぜひお送りください。次回もお楽しみに。

【次回記事】部下の自発的な行動を会話で引き出す方法

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